ニールセンは“大バカ役者”である。『裸の銃(ガン)を持つ男』('88)以来、日本に輸入される主演作のほとんどがナンセンス・コメディという彼は、芸術性のカケラもない究極のワンパターン映画でスターを維持する凄い“大バカ役者”だ。
世界中に“役者バカ”と言われる人は多いが、70も過ぎた大バカ映画専門の役者はあまりいないと思う。“役者バカ”という響きは、決していい面だけを意味しない。映画の場合、かつては大スターだった役者が年をとり、主役が張れなくて脇役で現役を続けたり、あるいは、主役だからとマイナーなB級C級の映画に出演して過去の栄光にしがみつき続けることも“役者バカ”を意味するのだから。
しかし、74才の大バカ役者ニールセンは違う。彼の映画はA級の大作であり、コストもかかる。今回の『2001年宇宙への旅』もSFXを多用し、売れっ子の芸能人も出演するなど、あの手この手で見る者を楽しませる。彼の映画では、この10年間で最も面白い出来ばえだ。
いつも思うのだが、彼自身には喜劇的センスを感じない。元来が2枚目で始まった彼を大バカに仕立てるために、毎回、盛大な道具立てをプロデューサーは用意する。彼は演技も芸も何もせず、フラフラしていればいいのだ。芸熱心な役者バカではストレスが溜まるだろう。溜まらぬニールセンは、だから、“大バカ役者”なのだ。 |
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