『初恋のきた道』は、それはそれはプリミティブな恋愛をなんのけれん味もなくストレートに描いた作品だ。田舎の村に赴任してきた若い教師にひと目惚れした娘が、恋心を伝えたくて、いじらしくて微笑ましい努力をする。
たとえば、学校建設中の教師や村の男たちに食べさせる食事を女たちが作るのだが、娘は愛しい人に食べさせたくて弁当の置き場所まであれこれ気を使う。また、彼の通り道に先回りをして、偶然の出会いを演出することもしばしば。この娘を演じているチャン・ツィイーが、『グリーン・デスティニー』とは一味違った純情娘を熱演して、まぶしいほどの愛らしさ。この純粋な姿には、老若男女を問わず、見れば涙はお約束だろう。
そこで、驚かされるのは、こんな透明感漂う作品をチャン・イーモウが監督したことだ。なにしろイーモウといえば『紅いコーリャン』や『紅夢』など、伝統と因習に翻弄された男女の愛憎を描くのがお得意だったはず。しかも、私生活でもそれらの作品に主演したコン・リーとの泥沼の不倫を展開していた。うーん、数年前にコン・リーと別れた事を考えれば、数年間のミソギを経て、“やはり愛は純粋にして清いもの”と痛感したのかもしれない。そうでなければ、こんな純情な愛の賛歌は撮れないと、思いません? |
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