いわゆる“ハリウッド・スター”の1人であるイーストウッドは、今では“映画作家”として認められている。巨大な映画産業国であるアメリカで、製作者の権限を持って自分が作りたい映画ばかりを作り続ける彼は、それだけで映画作家と呼べるだろう。30年近く、質を落とさず今日に至っているパワーは驚異的で、その点では“芸術家肌”の映画作家ウディ・アレンと、いい勝負だ。
この『スペース・カウボーイ』は19本目の自作自演に当たるが、本作は作家の映画にあらず、露骨なほどにスター映画となっている。彼より2才年長で、スターとしても先輩格になるジェームズ・ガーナーを始め、熟年のスターをズラリと並べて彼らの長所を巧妙に引き出す。老人が宇宙へ飛び出すという、常識では考えられない荒唐無稽な題材を、医学的にも、科学的にも、徹底したご都合主義で成立させている。これほど現実感のないイーストウッド映画も珍しい。
しかし、そこがいい。いつ倒れてもおかしくないほど老いたガーナーに、往年のファンが納得できる見せ場を設け、その細かい気配りは過去の映画に無かった優しさだ。イーストウッドが老境に達したからこそ描ける優しさかもしれないが、この映画の中の彼は、青年のように若々しいのだ。 |
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