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| 『NHK少年ドラマシリーズ 少年ドラマ
アンソロジーI』 |
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清水
節
text by Takashi Shimizu |
| ≫ '70年代の傑作TVドラマシリーズが奇跡のDVD化 |
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ビデオショップやBS、CSなんてものができて以来「いつでも見れるさ」という気持ちが蔓延し、「どうしても今見たい」という作品への渇望感が薄くなってしまったが、この作品への想いだけは別格だった。
怪獣ブームも変身ブームも過ぎた少年にとって、'70年代初頭に最もセンス・オブ・ワンダーを感じさせたTV番組。それはNHK少年ドラマシリーズだった。とりわけ、シリーズの皮切りとなった'72年の正月に6話連続で放映された『タイム・トラベラー』の衝撃は忘れられない。後に映画版も作られた筒井康隆の「時をかける少女」を原作にTVドラマ化されたこの作品は、ジュブナイルSFとして、ラブロマンスとして、少年たちの心に永遠に刻まれた。けれども、NHKはこのドラマの収録テープを消去してしまっていて、もう2度と見ることのできない番組であると語り継がれてきた。
いまどき滅多にない映像ソフトへの渇望感…。それが、当時、高価なVTRを所有していた視聴者によって最終話だけが録画保存されていたことが判明し、ついにDVD化へ。記憶のなかで反芻するしかなかった番組との、およそ30年ぶりの遭遇は何を感じさせたか? たいてい記憶は美化されていて、いま見ればチープなんてことはいっぱいあるが、この番組の耐久性は想像以上のものがある。
特筆すべきは、やはり演出のディテール。スタジオドラマという「日常性」を感じさせる限界を解消するかのように、番組冒頭には不思議空間へと導入するための仕掛けが施されている。ドアが開き、薄暗い空間に座る顔の判別のつかない男によるナレーション。『トワイライトゾーン』のロッド・サーリング、『ウルトラQ』の石坂浩二の存在にあたるこの番組のナレーターは、城達也。南山宏も中岡俊哉も顔負けの「世界の怪奇現象」のエピソードが無機質に、魅力的に語られ、その後に続くハープシコードの調べ。録画映像であることを物語る、画面隅の6:05という番組開始時刻の表示がまた、なんともタイムスリップ感覚を煽ってくれる。リアリティを補足するため、ラジオドラマ的なナレーションで進行させる演出に比重を置いていることも、かえって新鮮だ。
いきなりの最終話ではあるが、第1話から第5話までの音声が特典として付加されていることもあり、また、SF少年の濃厚な記憶を補って余りある。そしてなんといっても、島田淳子扮する主人公・芳山和子に抱いた恋心が蘇える。こんなに太めな体型だったなんて…。『続タイム・トラベラー』全話の音声とフォトギャラリーや'76年放映の『明日への追跡』も一部収録されているが、なによりもこのDVDソフトはパッケージまるごと特別映像といっていい。
少年期の匂いを保管したまま伝えてくれる録画映像は、30年前へ連れ戻してくれる幻惑的な“ラベンダーの香り”そのものに他ならない。 |
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