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『インビジブル コレクターズ・エディション』

安藤 智恵子
text by Chieko Andoh
ポール・バーホーベン監督こそが、もっとも驚異的な“透明人間”?
 美術の教科書の片隅に小さく載っていた、割れた生卵の絵。透明な白身を油絵具で描くことができると知ったあの衝撃。『プレデター』の中で、木々の動きや枝葉の歪みを通して、透明な怪物が「見えた」ときの感激。その後、偶然読んだモーパッサンの短編で、まさにプレデターそのものの描写に出会ったときの驚き。内臓が透けて見える熱帯魚から受けた感銘。そして『インビジブル』…、我が人生の<透明史>に新たなる印象が刻まれた。

 
HOLLOW MAN
監督:ポール・バーホーベン
出演:エリザベス・シュー/ケビン・ベーコン/ジョシュ・ブローリン
2000年 アメリカ
1時間52分
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
3800円
発売中
●「スターシップ・トゥルーパーズ」のポール・バーホーベン監督が、人体の透明化に成功した天才科学者の狂気を描くSFサスペンス。彼ならではのエログロシーンが満載


http://www.spe.co.jp/
 特典映像“SFXの裏側”とメイキング・ドキュメンタリー“透明人間誕生”は、現場の熱気を伝えてくれる。3色の全身タイツを駆使して皮膚呼吸の限界?に挑んだケビン・ベーコンもさることながら、人体の動きをデータ化するため本物の死体で解剖学を研究した特殊効果チーム、通常の何倍もの仕事をこなした撮影クルーなど、膨大な作業の詳細を見ることができる(見るだけだから純粋に面白い)。

 でもいちばん面白いのは、髪を振り乱す大熱演で俳優に演技をつけたり、マイクをしっかと握りしめ、自らゴリラになりきって鳴きわめいたりと、終始ハイ・テンションでとばしまくるバーホーベン監督。フィルムには映っていないのに、作品全体をしっかり自分色に染めた監督こそが、もっとも驚異的な<透明人間>なのかもしれない。


 

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