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『グラディエーター』

清水 節
text by Takashi Shimizu
未公開ショットを編集した秘蔵映像集は必見!
 この映画ばかりはTVモニターなんぞで観てたまるか、と意地になっていた。なにせ、古きよき映画の醍醐味を味わわせてくれたローマ史劇。コロシアムで繰り広げられる肉弾戦も、古代都市を再現したデジタル特撮のクオリティも、スクリーンでこそ映えると信じ、2度目3度目の映像体験のためにLAまで駆けつけ、大型シアターとして名高いシネラマドームでの上映とIMAXでの特別上映まで体感してしまったくらいなのだ。しかし、DVDの特典映像の魅力に魅かれ、ついに四角い箱で…。

 これは、この映画を愛するものなら観ておかねばならない映像資料だ。本編をより深く知るためのマニア向け雑誌や映画技術専門誌に匹敵する、いや、それ以上の価値が十分にある。美術監督、特撮監督による解説が貴重な“メイキング”(25分)の完全収録をはじめ、『世界ふしぎ発見!』風のTV特番らしき“グラディエーターの闘い/血のスポーツ”(50分)、コニー・ニールセンの息子役のスペンサー・トリート・クラーク君による生写真付き“製作日記”なんてお楽しみは、まだ序の口。ファン垂涎の資料は、まず“ハンス・ジマーが語るグラディエーターの音楽”(25分)。意外にもオタクっぽい風貌の彼によるリサ・ジェラード起用の経緯や彼の誠実な音楽論に、映画の成功のもうひとつの要因を窺い知ることもできる。また、アクションを詳細に描き込んだ、劇画としても鑑賞に堪え得る“ストーリーボード”の数々にも目はクギ付けだ。

 なんといっても極めつけは、“監督の音声解説付き未公開シーン”(30分)だろう。それはまるごと削除された11のシーン&シークエンスに分けられ、どれも登場人物の内面描写を深く掘り下げたものでありながら、冗漫になることを避けたリドリー・スコットの非情な判断で切られたものばかり。

 皇位継承者を決める直前に祖先に祈りを捧げるリチャード・ハリス。剣闘士としての心得を指示す るオリバー・リード。罪のないキリスト教徒の子供がライオンに食われる場面を目撃するラッセル・
 
GLADIATOR
監督:リドリー・スコット
出演:ラッセル・クロウ/ホアキン・フェニックス/コニー・ニールセン
2000年 アメリカ
2時間35分
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
3980円
発売中



http://www.spe.co.jp/
クロウ。新皇帝の悪政を議論するコニー・ニールセンほか官僚たち。亡き父の像に剣を突きつけ泣き じゃくりながら抱きつくホアキン・フェニックスの屈折愛…。

 そして、本編の編集者ピエトロ・スカリア(『JFK』でオスカー受賞)が未公開のショットを特別編集し、ジマー&ジェラードの音楽をかぶせた情緒あふれる秘蔵映像集の美しさには心打たれ、最もリピートして観てしまうメニューになりそうだ。できれば、これら未公開シーンをつなぎ合わせ、完全版としてスクリーンでの上映を実現させてほしいものだが。


 

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