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『ルパン三世 カリオストロの城』

宇都宮秀幸(編集部)
text by Hideyuki Utsunomiya
絵コンテ切り替え機能で知る『カリオストロ』の新たな魅力
 この作品の評価についてはいまさら言うまでもないだろう。宮崎駿の劇場映画デビュー作にして、最高傑作であり、また彼のキャリアのひとつの到達点であり、同時に転機ともなった作品だ。以降、宮崎は純粋な活劇を作ることに限界と疑問を感じ、さまざまな問題意識をはらんだ憂鬱な作品(『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』)か、もしくは児童文学研究会的な気色悪さが匂う啓蒙的な作品(『魔女の宅急便』『耳をすませば』)にシフトしていってしまう。

 だがあらためて『カリオストロの城』を観れば、宮崎駿という作家の最良の資質は、物語のテーマ性よりも、まずはアニメーション本来の魅力である、動くことそのものの快感を自在に操る演出力にあることがわかる。

 そうした宮崎のアニメーション演出に対する考え方と方法論が詰め込まれたのが、彼自身の手による絵コンテである。今回のDVD版では、この絵コンテと本編映像をマルチアングルで切り替えながら観ることができる。各シーンの演出の力点がどこに置かれているのか、またそれが実際の画面でどのような効果を発揮しているかが一目瞭然で、すでに何度も観たという人もきっと新たな発見があるだろう。

 一例をあげれば、『カリオストロの城』で宮崎が重視していたモチーフのひとつに“水の表現”があることがわかった。水路を流れる一枚の葉や、波打ち際に打ち上げられる1本のネジで彼は“水”を表現しようとする。幼いクラリス姫が傷ついたルパンにコップの水を差し出す場面の絵コンテに、宮崎の「コップの水、美しく!」という注意書きを見つけた時、大洪水で終わる『カリオストロ』が実は“水の映画”であったことを確信したのである。

©モンキーパンチ/TMS・NTV
 
監督・脚本:宮崎駿
声優:山田康雄/増山江威子/小林清志
1979年 日本
1時間40分
ブエナ ビスタ
4700円
4月26日発売


 

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