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『映画監督になる15の方法』 轟夕起夫

藤川 愼
text by Makoto Fujikawa
映画の奥深さを伝える15人の発言
 本サイトでもお馴染みの著者がまとめた、1960年以降に生まれた映画監督のインタビュー集。駄文で紹介するより、いくつか拾ってみると…

 製作・監督・脚本・撮影・照明・美術・編集・出演・宣伝…14歳から8ミリで試してきたことをそのまま続けている感じ。カメラのサイズが大きくなるにつれて難しくなったけど、最初の8ミリでクラスの女の子に出演を頼んだときに「いや!」って言われたのも、人間関係の難しさと同じと言えば言える。(塚本晋也)

 僕にとって映画監督は職業名じゃなくて、“いま、そういう立場にいる”って感覚。オフで撮影していないときは監督でも何でもない、ただの職のない男。もし明日から監督という立場でなくなっても、未練はない。むしろ逆に、そういうことが起ってほしい。(三池祟史)

 映像主義の人が多いけど、どうして脚本家が報われないんだと、不思議に思う。日本の映画界は、ダメな脚本はボツにして、その分、企画が通 った脚本家のギャラを上げたら、もうちょっと面白い作品も出てくるような気がする。(SABU)

 シナリオライターが4部構成を「初めて聞いた」なんて。アニメでも暗黙の決まりなのに、なんで実写 の人にはないんだろう。4部構成なら絶対にストーリーが破綻することはないのに。…自主映画やっている人でもミックスやSEはプロに任せるべき。3倍はよくなる。画なんか別 にたいしたことなくても、映画は音で相当よくなる。(石井克人)

 機材とスタッフを乗せたまま無人島に漂着しても、映画は作らない。楽しませる観客がいないから。(矢口史靖)

 僕が監督だけど、脚本家なのかカメラマンなのか俳優のものなのか、誰が作ったのかわからない、意識しない限り分けることのできない作品が一番面 白い。(鶴田法男)

 8ミリもひとつの作品。35ミリと同じです。『スター・ウォーズ』だって金をかけたインディペンデント映画じゃないですか。(篠崎誠)

 映画の現場でトラブルは起こるもの。単にお金や時間の問題ではない。で、切羽詰まって撮ったところが、狙って演出するより光っていたりするのが映画の怖いところ。だから無意識に、そんな状況を呼び寄せている場合もあるかも。(塩田明彦)

 助監督をやれば社会がわかる。スタッフに敬語で話しながら、自分の思いどおりに動かさなきゃいけない現場だって多々あるし。でもそれは今だから言えることで、映画撮っちゃえば誰でも監督。(室賀厚)

 現場ではみんな暴走。監督って何もしなくてもいいんだって学びました。自分のイメージを超えた照明や効果 音ってある。そこのバランス取りだけが監督の仕事。それでも自分のカラーは滲んでくる。いろいろな偶然、優秀なスタッフ、キャストのセンスが合わさって、それでも自分のスタイルは出せる。(北村龍平)

 映画監督は撮っていないとダメ。いくら日常で葛藤していても、表現として何か残さない限りは「何も起きなかった」ことと同じ。(松岡錠治)

 助監督志望なら、自分の好きな監督に最初に会いにいくべき。ウォシャウスキー兄弟が好きなら、NOVAで英語覚えてアメリカに行くべき。僕らは瀬々敬久監督の映画に惹かれたから監督に師事した。ウォシャウスキー兄弟が好きなのにピンクに来るのはどうかと思う。監督が尊敬できなかったら仕事として成立しない。(今岡信治、坂本礼)

 カメラマンに「どういうふうにしたい?」と質問されても「現場で、リハーサル見て、それにあったライティングをしてください」としか答えなかった。スタッフもキャストもその人のプラスアルファを少しでも引き出したい。(けんもち聡)

 自主上映でお客さんの笑いをとれても、私の作風ではPFFを通らない。だったら直接お客さんに観せなければ。なんとか公開してお客さんの判断を直接あおぐ方向を探ろう。監督もプロデュース能力がないと生き残っていけない。(松梨智子)
 
 
洋泉社
1500円(税抜き)


 以上は字数の都合で、原文のママではなく、筆者によるダイジェストだが、こんなのはまったく一部も一部、サワリにもならない。映画の現場というところに君臨している15人の監督の発言の数々は、まさに圧倒的で、さながら映画の奥深い面 白さが大渦を巻いているかのようだ。


 

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