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| 『ナチ娯楽映画の世界』
瀬川裕司 |
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清水
節
text by Takashi Shimizu |
| ≫封印された映画史を解き明かすスリル! |
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リーフェンシュタールがいくらヒトラーへの忠誠心を否定しても、その映像美はナチスのスローガンに貢献したに違いないという固定観念は払拭されていない。これは、プロパガンダでしかないと括られてきたナチ時代のドイツ映画に、必ずしも悪質な政治宣伝を目的とせず、しかもハリウッドにさえ比肩するようなエンターテインメント映画があった事実を掘り起こす渾身のレポートだ。
ここに掲載された膨大なナチ娯楽映画は、われわれにとって、そのほとんどが未知の世界。約1100本のナチ映画のうち750本以上を実際に視聴する労力を割いてきた筆者による、当時のスターや監督、そして作品内容についての記述は、実に具体的かつ明解。
レヴュー映画、SF・ファンタジー映画、
山岳映画、喜劇映画、冒険映画といった代表的ジャンルと、5人のスター女優を考察する形をとって、いかに無害で大衆のための映画が存在し、それらはナチの統制を超えた、各映画人の放つ個性の力でこそ存在し得たということを説き明かしていく。
個人的には、ハリー・ピールというSF冒険活劇に秀でた映像作家にスポットを当てた章が興味深い。ドイツのスピルバーグかディズニーか、といったプロデューサー兼監督は、ハリウッドにも招聘されポスト=フリッツ・ラングになった可能性があったにもかかわらず、国内に留まって撮り続け、業績が否定されてしまったという。本書は、そんな封印されてきた数々の映画史への興味を存分にかきたてるスリリングな「発見」に満ちている。 |
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