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『朗読者ベルンハルト・シュリンク』

金子裕子
text by Yuko Kaneko
アンソニー・ミンゲラの次回作は15歳の少年と36歳の女性の愛
 ドイツの作家ベルンハルト・シュリンクの『朗読者』には泣かされた。内容は、15歳と36歳で出あったミヒャエルとハンナの愛の物語。ひょんなことから学校帰りの午後をハンナのベッドで過すようになったミヒャエルだったが、忽然と彼女は消える。数年後の再会。それはかつてナチの看守であったハンナを裁く裁判だった。

 とにかく、約30年に渡る愛が切ない。思いは2人の心の奥底にしまわれてはいるものの、彼女の忌まわしい過去や老醜にも色あせることはない。その抑制の効いた愛のありように、さりげない語り口に、心揺さぶられる。

 そして、これが単なるメロドラマで終わらないのは、ハンナの過去を媒介に自責の念にかられるミヒャエルの姿があるからだ。
 
 
新潮社
1800円
つまり「僕の親の世代は、ヒットラーに加担したか、行為を容認した」という罪の意識に苛まれているのだ。ヒットラーの同胞=ドイツ人の苦悩を綴る視点は、新鮮にして興味深い。

 ちなみに、本作は『リプリー』『イングリッシュ・ペイシェント』のアンソニー・ミンゲラ監督が映画化の予定。「ハンナ役をジュリエット・ビノシュが切望している。でもあまりに長い期間の物語なので、脚本化がむずかしいんだ」とのこと。是非とも、見てみたい一作ではある。できれば、他のキャストで……。


 

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