「FILM」
「DVD」
「VIDEO」
「SOUND TRACK」
「BOOK」



 
特集アスペクト83『恋愛映画1000〜すべての映画は恋愛映画である。』

藤川 愼(編集部)
text by Makoto Fujikawa
読むほどに見えてくる自身の恋愛映画論
 49人の選者がそれぞれ20本づつ選んだ「恋愛映画」ガイド。寝っ転がって、読むともなく眺め、共感したり、反感を持ったりしていくうちに自身の恋愛映画論が見えてくることだろう。

 アンケートというのは、セレクトによって、いかに自分を出すかが勝負だから、読者それぞれが、どの選者に肩入れするかは年代や趣味で完全に分かれるのは必然。

 個人的には“『風と共に去りぬ』の一番重要なポイントはスカーレットがアシュレーを好きという事実”とおっしゃる篠崎真紀さん、“ジョン・ヒューズの『スターシップ・トゥルーパーズ』が見たいとか、『ヒドゥン』のカイル・マクラクランはまるで『ロリータ』のハンバート・ハンバート”とおっしゃる水本アキラさん、そして“「切ない気持ち」こそ「恋愛」なのです”などと当たり前すぎることをおっしゃりながら、その「切なさ」の定義が、読む者をことごとくはぐらかしていく杉浦裕子さんの3人の回答が「そうか、そういう見方があるか」と思わず膝を叩いてしまう好みのものだった。

 編集的なことを言うと、集計が欲しいと思ってしまった。もちろん、各人バラバラだから意味をなさないだろうし、けっして、キネマ旬報的にベストテンを見たかったわけでもない。ただ、恋愛映画と認識されている作品がどのあたりになるのかが知りたいと思った。『めまい』やウディ・アレンの映画が多かったような気がするが実際はどうだったろうか? 上位にあがる作品を、一体どの選者が入れているかにも興味がそそられる。

 また中盤3回に分けて中休み的に4人の選者による鼎談が入るが、これはまとめて先に読んでしまう方がいいかもしれない。
 
 
アスペクト
1200円

http://www.aspect.co.jp/
鼎談者の「恋愛映画とは何か」の問題提起を受けて、49人それぞれの恋愛映画論を見ていくのは、ちょっとスリリングな旅になるからだ。

 いろんな意見を拝聴した後に見えてきた、自身の恋愛映画論は、理性では操作できない感情ゆえに「一寸先は闇」の面白さである。アッと驚く意外なキャラへの愛情、まさかのカップル誕生、最後まで観客にも明かされない恋愛感情…きっかけは人様々で、無茶苦茶だけど納得できる衝撃の展開、それも理詰めじゃ「恋」じゃない。画面の空気や肌触りで感覚的に見る者に恋を納得させる。そんな感情がいろんなカタチで爆発してしまう一瞬、これが快感、これに限る。


 

「スロウトレイン」に掲載の記事・写真・カット等の無断転載を禁じます。© Works m bros.