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『ロシアでいま、映画はどうなっているのか?』

高橋諭治
text by Yuji Takahashi
ロシアの才能たちよ耐え忍んで、立て!
 ロシアからの新作映画が輸入される本数が減って久しい。アメリカ映画のようにインターネット経由でDVDを入手というわけにもいかず、ロシア映画好きには寂しい今日この頃である。いったいロシアの映画界はどうなっているのか。ソクーロフ、ゲルマンの作品を意欲的に配給し、〈ロシア映画秘宝展〉でマニアを狂喜&驚愕させたパンドラが、この疑問に答える気合いの入った1冊を発行した。

 共産主義の崩壊で検閲がなくなった“自由”の代償として、極度の資金難、ハリウッド映画の侵攻、海賊版ビデオの横行といった困難に見舞われたロシア映画界。その結果 、1970年頃には140本だった年間製作本数は約1/5に激減してしまい、ロング・インタビュー収録のゲルマンは「ロシアは資本主義の最悪の部分を選び取った」と苦言を呈し、評論家のオルガ・ライゼンは「ソクーロフに続く若手がいない」と嘆く。現状は想像以上に暗い。

 ただし〈プレミア・ロシア版編集長が選ぶ90年代ロシア映画の50本〉のコーナーには、
 
 
パンドラ
1600円<
キラ・ムラートワ、アレクサンドル・ロゴシュキン、ヴァレリー・トドロフスキーといった特異な感性を持つ優れた映画作家の名前がズラリと並ぶ。驚くべき才能を無数に生み出してきたロシアが、そうそう枯渇するはずがない。「創作が最も重要であり、資金を集めるのは最低限のことにすぎない」と言い放つソクーロフの「耐え忍んで成果 を出す。私はそういう日本的な思考が好きです」という言葉が、妙に頼もしく感じられた。


 

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