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『日本恐怖映画への招待』

清水 節
text by Takashi Shimizu
邦画のダークサイドをたっぷりどうぞ…
 監修に当たった、特殊メイクアップマンにして監督の原口智生が収集してきたという貴重な写 真をふんだんに用い、邦画のダークサイドへといざなう豪華なムック。

『怪談累が渕』をデザイン化した表紙は、怪談映画を象徴する日本的怨みの図を端的に表わしていて美しい。まず恐怖映画史を、戦前、45〜76年、77年の『HOUSE ハウス』以降、の3章に分けて流れをつくり、決定的恐怖のヴィジュアルに誌面 を割いた。その合間に入る特集が濃い、いや怖い。

 なかでも中川信夫の『東海道四谷怪談』と、小林正樹の『怪談』をフィーチャーしたグラビアには、
 
 
※別冊太陽スペシャル
平凡社
2500円

http://www.heibonsha.co.jp/
ブームに便乗して出版されたあまたのムックとは一線を画すこのジャンルへの愛の確かさが感じられ、溜飲が下りる。お岩女優と化け猫女優を、それぞれ競演させた頁など夜中には見られまい。極め付けは、画期的なメイクを施した歴代の幽霊たちの袋とじ構成。中田康子、入江たか子、中村雁治郎の顔が変形していく様が、貴重な写 真で蘇る。

 こうしてみると、日本の恐怖映画の特徴は、スプラッタ的表現でもメカニカルな特殊撮影でもなく、怨念を美学に変換した特殊メイクと情緒的なプロダクション・デザインにこそあったことを思い知らされる。


 

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