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『けったいなアメリカ人』 米屋ふみ子

藤田真男
text by Masao Fujita
『ゴッドファーザー』の原作者がこんな好人物だとは知らなかった
 ジョシュ・グリーンフェルドというユダヤ系アメリカ人の作家、脚本家がいる。映画『ハリーとトント』の脚本でアカデミー賞候補になった。1975年春、その授賞式に夫婦で出かけるところから、グリーンフェルド夫人である米谷ふみ子の著書『けったいなアメリカ人』は始まる。そして彼女が滞米40年間に出会ったさまざまな芸術家の素顔と思い出が綴られる。登場するのは俳優アート・カーニー、ゼロ・モステル、作家ヘンリー・ミラー、ノーマン・メイラー、ジェイムズ・ボールドウィン、フォーク歌手ピート・シーガー、等等。
 
 
集英社 1700円
●似た題名の『イギリス人はおかしい』(高尾慶子 文芸春秋)という本もあって(この題名も『イギリスはおいしい』という話題になった本の反語)、こちらの著者はリドリー・スコット監督の大豪邸でハウスキーパーとして働いていた日本人の女性。スコット家やイギリスの上流階級の人間がいかにいやらしい連中であるかがよく分かる面白い本。(藤田)


http://www02.so-net.ne.jp/~pandora/index.html

 ただの人物スケッチではなく、ユダヤ人作家の自殺がホロコーストをめぐる著者一家の家庭内大論争にまでエスカレートしたり、かつて赤狩りの際に仲間を裏切ったエリア・カザン監督のアカデミー名誉賞受賞をめぐるハリウッドあげての論争にふれたり、アメリカ人のものの考え方について教えられる点も多い。『ゴッドファーザー』の原作者マリオ・プーゾとすごした日々の思い出を綴った文章は心にしみる。ただの通俗作家かと思っていたプーゾが、こんな好人物だとは知らなかった。

 映画人が数多く登場する本なのに、エリア・カザン監督『草原の輝き』やゼロ・モステル主演『ローマで起こった奇妙な出来事』の邦題すら調べてないのは困る。これは著者ではなく編集者や校閲担当者の責任だろう。最近の本にはミスともいえないようなミスが実に多い。著者自身もマリオ・プーゾの小説『ラスト・ドン』の邦訳を少し読んだら、あまりにも単純なミスがあって読むのをやめてしまったと嘆いている。


 

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