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『ロマンアルバムGHIBLI』

宇都宮秀幸(編集部)
text by Hideyuki Utsunomiya
『プリンセス・モノノケ』とアメリカ人の本音
 宮崎アニメは、絶対に『ナウシカ』以前のほうが面白かったと思う。単純なアクションであることに飽き足らなくなり、意図するか否かは関係なく、啓蒙的な雰囲気を漂わせるようになってからの長編作品はどうしても好きになれない。もちろん『もののけ姫』にも同様の印象を持ったのだが、海外版である『プリンセス・モノノケ』と作品をめぐる状況には、なぜか興味をそそられた。

 本書は『もののけ姫 英語吹替・日本語字幕スーパー版』の公開にあわせて出版されたムック。『プリンセス・モノノケ』という作品が米・仏でどのように評価されたかが、あらゆる角度から検証された、単にパブ目的というにはあまりに内容の濃い力作である。

 この本を読んで、なぜ自分が『プリンセス・モノノケ』に興味を持ったのかが少し分かった。一般に『モノノケ』に対する評価は海外でも非常に高い。リアルで複雑な物語や暴力的な表現に関しても、驚くほどの理解が寄せられたようだが、それはあくまで一部のインテリ層の観客やプロの批評家に限った話。実際、本書のなかでも触れられているように、米の一般 観客を相手にした試写や地方の上映では、実に率直な感想が多く見受けられたのだ。
 
 
徳間書店 ¥700
いわく「長すぎる」「善悪がはっきりしない」「コミカルな脇役がいない」「動物がマジメな顔で喋るので笑ってしまった」などなど。日本国内ではあまりのヒットぶりと絶賛の嵐に誰もが素直に言えなかった言葉が、アメリカ人から聞けるとは…。

 本書のもうひとつのポイントである海外版制作のメイキングの過程も非常に面 白い。観客の理解度を危ぶむミラマックスが、曖昧な表現を許さず、タタリ神を「demon」と訳させるあたりは痛快な思いさえする。ミラマックス社長(通称シザーハンズ)が強く主張したという、カット版『モノノケ』も意外にイケたのではないだろうか?


 

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