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| 『日本映画史100年』
四方田犬彦 |
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小出幸子
text by Sachiko Koide |
| ≫かつて映画は芸術ではなかった |
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タイトルからすると何やらお勉強めいた感じがしなくもないが、本書は決してそんなことはない。しかもマニアを対象にしたものでもなく、日本映画の歴史をざっと辿ってみたい向きには格好の一冊だろう。
19世紀の終わりに始まった日本映画は、しばらくの間、芸術としては高い位
置にあったわけではない。戦後に入って、溝口健二や黒澤明が海外の映画祭で賞を獲るに至って、ようやく芸術として認知されたのだ。本書の魅力は、その後、邦画が得意とするロングショットや長回しが、もともとは弁士がセリフを語るために準備されたものだという指摘や、邦画の本質のひとつである、浄瑠璃などの伝統芸能とのハイブリッド性が、時代を越えて今に出現する可能性の示唆を説くところだろう。
筆者は、
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| 集英社新書 ¥720 |
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日本映画が会得した1950〜60年の第二の黄金時代(最初の黄金時代は1927〜40年)の中でも、特に日活の活躍を語ることが本書の喜びと触れているが、刮目すべきは第五章の「植民地・占領地における映画制作」と次の六章で、台湾での映画制作や朝鮮映画、満州映画の成立と状況などは筆者の面
目躍如とするところではないだろうか。
21世紀を目前に、これから日本映画が第三の黄金期を果たして迎えるのか、またどのように変貌するか、はたまたしないのか、筆者ならずとも大いに気になるところである。 |
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