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| 『和田夏十の本』
谷川俊太郎・編 |
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轟
夕起夫
text by Yukio Todoroki |
| ≫和田夏十は『アメリカン・ビュ−ティ−』をどう観たのだろう |
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あとがきで市川崑監督がこう書いている。
「夏十さんが亡くなってから、あの人の文章を読むと、いつも泣いてしまう。だから繰り返して読まないようにしている。だが、つい読んでしまう」
夫人として、そして脚本家として、市川崑の“人生と映画のよき伴侶”であり続けた「和田夏十」。この本は、83年2月18日、乳ガンで逝去するまでに(闘病生活の中で)彼女が遺した未発表のエッセイを中心に、『炎上』『黒い十人の女』の傑作シナリオ、短編などで構成されている。したがって、「和田夏十」を知る人は必読の書であるのだが、これから「崑&夏十」の映画に触れる方にもぜひ手にしてもらいたい書物なのだ!
というのも、内省的なエッセイに目を通していてなぜか思い出したのが『アメリカン・ビュ−ティ−』だったのである。
『アメリカン・ビュ−ティ−』ではラスト、ビ−トルズの『ビコ−ズ』をカヴァ−したエリオット・スミスの歌声が聴こえるが、
本書の「あなたにとって家庭とは」というエッセ−を締め括るのは「楽しい話なんて何処にもありませんわ。だから空は高く美しく、風は光っているのですわ」(78年6月21日)という一文。
いや、『ビコ−ズ』の歌詞との対応ばかりか、ナレ−ション、回想形式、人間に対する洞察、社会批評、ブラックなユ−モア…と、思えば『アメリカン・ビュ−ティ−』は、50〜60年代の和田夏十と市川崑のコンビ作のような味わいなのだ。彼女なら一体このオスカ−作をどう観ただろう。それがあたわぬ
いま、本書を読み、「崑&夏十」の映画を観直すしかない…。老婆心ながら『市川崑の映画たち』(ワイズ出版)の併読もおすすめする。 |
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