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『日本映画 逆転のシナリオ』 大高宏雄

中村通伸(編集部)
text by Michinobu Nakamura
商品としての日本映画は、この10年、どう機能したか?
 興行、ビジネスという観点からユニークな映画批評を展開し続けている筆者がキネマ旬報で連載していたコラムを中心に再構成したのが本書。日本映画の90年代における様々な動きを総括しているのだが、松竹のブロックブッキング廃止など、この10年間での激動ぶりを改めて教えてくれる。

 筆者が他の評論家たちと違うのは試写よりも、マメに劇場へ足を運んでいる点。映画が商品としてどう機能しているかを直に感じているので、書かれている内容にも説得力がある。また、シビアな視点が多い中、90年代に相次いで閉館していった名画座に触れている件では、映画青年だった筆者の素直な思い入れが感じられる。シネコン、ミニシアター全盛の現在、新宿昭和館、三軒茶屋中央劇場に注目している評論家が他にいるだろうか。
 
 
WAVE出版 ¥1800

 さらに興味深いのは松竹、東宝、東映のメジャーの歩みについて論じる一方で、シネマジャパネスク、アルゴ・ピクチャーズなど良質なインディペンデント作品を生み出した場についても触れていること。日本映画を活性化させるにはマイナーな作品にも正当な評価を与えるべきだと述べているのだ。従来の賞とは違うスタンスの選定でファンにも定着している「日本映画プロフェッショナル大賞」を、筆者が主宰している理由がよくわかる。


 

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