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| 『近藤喜文の仕事』 |
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大村良三
text by Ryozo Omura |
| ≫“縁の下のアニメーター”その観察眼と表現力 |
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近藤喜文と聞いて「ああ、あの人」とすぐに浮かぶ人が世の中にどれほどいるだろうか。表に出ず縁の下から作品を支えたアニメーターだった彼。しかしこの本を見れば「ああ、この絵」とすぐに分かる。彼、近藤喜文の仕事はそれだけ多くの人の目に触れ、そして愛された。一昨年一月、帰らぬ
人となった近藤さんの、そんな“誰もが知っているのに知らない”業績を何とか形に残そうと、共に仕事をしたスタジオジブリの仲間が作り上げた、尊敬と誠意と愛情に溢れた珠玉
のアートブックである。
例えば『赤毛のアン』で、一見可愛くないガイコツ的輪郭のキャラを生み出し、そこに将来美人になる雰囲気を内包させたり等、リアルかつチャレンジングな仕事には定評があった。本は原画からキャラクター・デザイン、
未発表のスケッチ、完成映像をコマ落しで再現と多角的に見せており、特に『アン』『火垂るの墓』にはページを割いて、描く対象を如何に丹念に観察し表現しているかを的確に紹介している。マニアの語り草だった『リトル・ニモ』のパイロット・フィルムについても言及、当事者しか知らなかった状況を解説してくれていて溜飲の下がる思いだ。
宮崎駿・高畑勲両氏を初めとするスタッフのコメントも、近藤さんの絵のタッチの原点である“優しい人柄”を裏付ける。近藤さんの観察力に憧れるアニメーターたちが、彼の仕事振りを見逃すまいと目を凝らして“観察”している、そんな眼差しを感じさせて、面
白くも素晴らしい魅力を放っている本である。 |
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