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『ジョン・カサヴェテスは語る』 レイ・カーニー・編

上島春彦
text by Haruhiko Kamishima
カサヴェテスにとって「映画」とは「演技」であった
 本書は監督ジョン・カサヴェテスの映画を巡る発言を記録集成したものである。彼の意向に従い、一般 的には遺作とされる『ビッグ・トラブル』を彼の作品と見なさなかった点に、本書の全てが集約されている。即ち本書は「毛語録」ならぬ 「ジョン語録」であり、「カザヴェテス党宣言」なのだ。

 本書によってアメリカ映画史のスタジオ・システム崩壊後のパースペクティヴが「読めて」くる。 つまりカサヴェテスの処女作『アメリカの影』以降、時代の最尖鋭の表現者としての映画は、はっきりニューヨークを核とすることになるのだ。
 
 
幻冬舎 ¥2857

 が、『アメリカの影』の原作が戯曲ではなくメソッド演技の流れを汲む即興的演技セッションであることの意味は大きい。カサヴェテスにとって映画とは何より演技であり、言い過ぎるのを恐れずに言うなら、それがエモーショナルな時間を形作っていたならば映画でなくてもいいのだ。その時カサヴェテスは演技を自在に統御する演出家という存在から最も遠い何者かに変貌している。カザンやリットやシーゲルから出発しながら、彼がそのいずれのタイプにも属さぬ 「映画作家」たる所以がそこにある。


 

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