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#9 性格がまろやかになったおれが選ぶ今年の映画ベスト1

#8 柔道金世界一、ナンボのもの。オレだって「獣道」金メダルの滝本誠!

#7 ハンニバル・サマー・イン・フィレンツェ

#6 “激しい雨”滝本誠ライブIN東京大学−

#5 出るわ、出るわリンチ系が レイプだ、吊るしだ、カンニバルだ

#4 まだまだリンチの原稿は書ける。以前に何を書いたか忘れているもんね。

#3 “赤い部屋”の歌手ジミー・スコット 極上ライブは魂の血で真っ赤に染まった…

#2 乳頭をおいしくいただくことができた 今日という、すばらしい一日。

#1 NKホールでレズナーは言った。「サンキュー・ベリーマッチ」
 



2000.11.08 UPDATE

滝本 誠
text by Makoto Takimoto


性格がまろやかになった
おれが選ぶ今年の映画ベスト1


 昨夜、面白い見物があった。3チャンネルの深夜に、ケヴィン・スペイシーをゲストに迎えてのトークショーが放映されたのである。『アメリカン・ビューティー』まで言及したことを見ると、今年収録のものだ。客はすべてアクターズ・スタジオの生徒。アクターズ・スタジオは、役づくりのために徹底リサーチをして、対象になりきるというしんどいメソッドを生徒に課してきたが、ジェームズ・ディーンからアル・パチーノといった演劇/映画双方で活躍するアクターを輩出してきた。で、客席の彼らを見渡したが、いわゆる美男・美女はまずいない。「夢の顔」よりも「リアルな顔」が並んでいる。スペイシーはここの出身ではないが、なにしろ舞台/演劇双方でここ数年もっともリスペクトされているアクターということもあって、このシリーズ番組(らしい)に出たわけだ。

 初めて見たが、スペイシーの物真似(声音)のうまさは、驚嘆ものだった。10人ほどやったが、ジェームズ・スチュアート、アル・パチーノあたりは最高である。スペイシーは、どの映画も同じような表情で同じように演じ、極端な演じ分け、というような無粋なことはやらないが、微妙なニュアンスで役柄の差別化を図っているように思える。その差別化の呼吸が物真似の巧みさにあらわれる、と見た。まったく似ていなかったのが、クリント・イーストウッドだったが、スペイシーがいままでのところ唯一演技計算が大幅にズレたのが、イーストウッド監督の『真夜中のサバナ』だったこととこれは関係するかもしれない。

 『アメリカン・ビューティー』をアメリカ人があれほど褒めた理由がよくわからないところがあるが、逆に小生のようなタイプ(どんなタイプだ?)がのめり込むのは非常によくわかる映画である。しみじみとしたいい映画であり、泣ける。ビューティーの在り処は人生でほんの一瞬なのだ、という認識。今年のベスト1は何か、むずかしいところだが、今年はこれにしよう。なにか思い出すのが嬉しいような映画なのである。おれの性格がまろやかになってきたことの証明が『アメリカン・ビューティー』ベスト1選出ではないか?

 まろやかはいいが、朝のオナニーは、肉食民族のものであってとても真似できない。あと、スペイシーのゲイ疑惑をたくみに生かした脚本の妙味というか、それを知りつつ映画出演を決意するスペイシーのしたたかさに舌を巻く。まあ、これは裏読みに近いが。

 思い出したのが、スペイシー初監督作『アルビノ・アリゲーター』である。2、3日前に『ブラッドシンプル/ザ・スリラー』の劇場パンフレットに原稿を書き、この映画以降、監督デビュー作にクライム・ジャンルが選ばれることが多くなったと書いたが、スペイシーもちゃんとその路線を踏襲していたことに気づいたのである。この作品はほとんどの場面が密室状態で展開する。いってみれば演劇畑のスペイシーにはまさに「演劇」空間として勝手知ったる「限定空間」映画だった。その意味で無難に成功したが、限界も示した。

 その意味では舞台出身のメンゲス(だったよな)初めての映画『アメリカン・ビューティ』を、演劇性、人物描写の舞台性から解き放ってのびやかにトボけてみせたあたりをスペイシーは見習わなくてはならないかもな。アナ・バナナとかいう、ちょっとツッコミやすいタイトルで勝負するエドワード・ノートンの監督デビュー作はさてどうだろう。いずれ、アクターズ・スタジオにノートンが呼ばれる日は近いだろう。もう出たのかな? このシリーズ、続々と放映されることをNHKに要望したい。おねがいよ。


どことも知れぬ異星でなにかに遭遇
その設定を聞くと見たくなる


 今週はめずらしく試写に行くことができた。『ピッチブラック』である。昔からどことも知れぬ異星でなにかと遭遇という設定さえあれば、どんな作品でも見たものだが、今回もその設定を聞いてとたんに見たくなったのである。それに監督が、チャーリー・シーンに真面目に主演を委ねた、それ自体がSF的驚異といっていい『アライバル/侵略者』のデビッド・トゥーヒーだから、これは面白いだろうと踏んだのだ。キャストもほとんど無名を集めたということはアイデア勝負、SFX主体と読めた。

 結果は満足。異星の生き物にも十分に説得力があり、生き残るのが意外な人物、とこれまた面白い。『バトルフィールド・アース』を見逃しているが、宇宙船が飛んでいるようなので行くつもり。宇宙船が飛んで魅力がなかったのは『スター・ウォーズ』シリーズだけだ。なぜだろう?

 ギャガで熊田ちゃんに『ドグマ』じゃなかった、『ハンニバル』秘密指令を受ける。旧『ロスト・ハイウェイ』宣伝スタッフの熊田と本田(アーティスト・フィルム)の指令は拒否できない。

 今回はスティーブン・キングの『オン・ライティング』でいくつもりだったが、つまらない内容なのでやーめた。
(C) illustration by Gogh Imaizumi



『ピッチブラック』
ケヴィン・スペイシーはCBSドキュメントのインタビューにも出ていましたが、一見、スター然としていない常識人……と見せかけて実はかなりの変人という印象。『アメリカン・ビューティー』はビデオも既に発売中なので未見の方はそちらでどうぞ。一方の『ピッチブラック』は12月上旬、ニュー東宝シネマほか全国東宝洋画系にて公開予定(配給:ギャガ)。クリーチャー・デザインは、あの米版『GODZILLA/ゴジラ』や『ID4』のパトリック・タトポロス。ギーガーほどの独創性はない人ですが、悪趣味ゆえの強烈なデザインは個人的に好みです。そういえば、タキヤンも観たがっている『バトルフィールド・アース』もタトポロスの猛烈デザインが満載でした(鼻からチューブ!)。(編集部)


 

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