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#9 性格がまろやかになったおれが選ぶ今年の映画ベスト1

#8 柔道金世界一、ナンボのもの。オレだって「獣道」金メダルの滝本誠!

#7 ハンニバル・サマー・イン・フィレンツェ

#6 “激しい雨”滝本誠ライブIN東京大学−

#5 出るわ、出るわリンチ系が レイプだ、吊るしだ、カンニバルだ

#4 まだまだリンチの原稿は書ける。以前に何を書いたか忘れているもんね。

#3 “赤い部屋”の歌手ジミー・スコット 極上ライブは魂の血で真っ赤に染まった…

#2 乳頭をおいしくいただくことができた 今日という、すばらしい一日。

#1 NKホールでレズナーは言った。「サンキュー・ベリーマッチ」
 




2000.09.28 UPDATE

滝本 誠
text by Makoto Takimoto


柔道金世界一、ナンボのもの。
オレだって「獣道」金メダルの滝本誠!


 映画評のジャンルでもマイナーな、というか無法領域の小生でありますが、なんと「滝本誠」という名前のジャンルでも王座を追われ、リア王のごとく荒れ地をさまよわなければならなくなってしまった。オリンピック柔道81キロで、滝本誠が予想外の金メダルをとってしまったからである。そもそも滝本は鈴木とか田中とは異なり、マイノリティである。マイノリティでまったく同じ名前で、一方は国民的英雄である。どうする?

 すぐにイタズラを考えた。飲み屋で呼び出してもらうのだ。「シドニーから2年前にお帰りになった滝本誠さん、いらっしゃいますか?」「2年前」がミソなんだけどね。担当の藤川氏は「宇田川幸洋に比べれば、滝本さんは締切りを守る金メダリストだ」と、口にしないまでも・・・まったく思ってやしないだろうな。でもこの国民的英雄、柔道界では茶髪にしたり、かなりの異端児らしい。滝本誠と名前がついただけで、どの世界でもおのずと道がはずれていくように神は運命づけているのである。

 だれかが勝手にやってくれているネット配信「月刊滝本誠」(無料)購読者がわずかの間に200人を突破したことで驚いていたが、今後は柔道ファンが間違って購読するかもしれないので、対応が求められるだろう。「今月の一本」とかいって映画を紹介しようとすると、柔道ファンは「大外刈りか? 内股か?」と期待するだろう。実はオレは「映画評の寝技師」と呼ばれているんだけどね。寝技師には『キッド』の新聞広告におすぎが寄せたような涙の背負い投げ技はとてもかけられない、というか書けないということだ。おすぎに寝技かけてみたい気もするが。

 滝本誠が金メダルをとった日、名前の王座を奪われるとはつゆ知らず、痴呆はリア王にかぎりなく近づいているもうひとりの「滝本誠」はなにをしていたか?
 実はめずらしくも一本の映画を見に聖路加タワーに馳せ参じていたのである。試写状のイラストがずっと気になっていた『BLOOD/THE LAST VAMPIRE』を見に。寺田克也のイラストにであったのはごくごく最近である。中学1年生の娘が友達(「おまえの父さんは『エヴァンゲリオン』のシンジの父親そっくりだな」と数年前に言ってたやつらしい)から、「おやっさんに言っといて、ぜったい『青の6号』気にいるから」と言われて二人でレンタルして見たわけだが、これが世界終末と、モロー博士の島と、潜水艦ものの合わせ技で面白かったのである。これのビデオ・パッケージのイラストが寺田氏だったのである。

 試写状のイラストはくちびるのぶあついおさげのキムタクが・・・ではなく、少女が中央に浮きだしてこちらを睨みつけている。右上には歯をむきだしにしたモンスターの横顔、フロントには折れて地面に突き刺さった日本刀、下方左には基地フェンス、そしてこれらが夜の帳が降りきる寸前の、溶暗のなかに立ち尽くすセーラー服の少女。
 コピーはこうだ、“斬る――それが少女の宿命”。セーラー服と機関銃ではなく、セーラー服と日本刀、なんか血が騒ぐではないか。“1966年のアメリカ軍横田基地のハローインの日、「組織」は一人の少女を送り込む。その名は小夜・・・・・・”
騒ぐ騒ぐ。

 はたしてすばらしく面白いフルデジタルアニメだった。緊迫の画像が一瞬で終わった感じがする。こちらは小夜をどこまでも見ていたいという気になってきた。彼女は歳をとらないはずだから、いつまでも「翼手」の存在が確認できる場所、どこででも戦い続けなくてはいけない。次々とシリーズ化してほしい題材であり、十分なカタルシスがある。宣伝担当P2の堀江って小夜似だね。冗談。

 で、オフィスに帰ってきたら大拍手。おめでとうの連発であった。そのときはまだ2回戦突破ぐらいだったが、夕刻に金が確定。さっそく、メールが暇なやつから届きはじめたのである。担当・藤川はオリンピックの存在すら知らないようだったが。
 きわめつけは近所の花屋さんから届けられた花束だろう。差出人はわからず、ただ「日本獣道連名」となっている。獣道、まあ、批評のけものみちを歩んでいるからこれでいいかと、妙に納得した。

 明日は『スペース・カウボーイ』だ。みんなドナルド・サザーランドがオレだ、と言うんだけどどういう意味か、それを確認にいくのである。それはそうと『ダンサー・イン・ザ・ダーク』、普段はけっして泣かないやつが泣くらしい、と聞いていまから不安になっている。ラストのロールが長いといいけど。
(C) illustration by Gogh Imaizumi


今回の押収物件:
『BLOOD/THE LAST VAMPIRE』試写状

もちろんタキヤンからではなく、P2の堀江さんから本コラム用に特別に送ってもらう。担当者は堀江さんにお目にかかるチャンスを得ていないが、編集部内の評判では、小夜に似ているというよりも“かなりの美人”だそうである。


 

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