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#9 性格がまろやかになったおれが選ぶ今年の映画ベスト1

#8 柔道金世界一、ナンボのもの。オレだって「獣道」金メダルの滝本誠!

#7 ハンニバル・サマー・イン・フィレンツェ

#6 “激しい雨”滝本誠ライブIN東京大学−

#5 出るわ、出るわリンチ系が レイプだ、吊るしだ、カンニバルだ

#4 まだまだリンチの原稿は書ける。以前に何を書いたか忘れているもんね。

#3 “赤い部屋”の歌手ジミー・スコット 極上ライブは魂の血で真っ赤に染まった…

#2 乳頭をおいしくいただくことができた 今日という、すばらしい一日。

#1 NKホールでレズナーは言った。「サンキュー・ベリーマッチ」
 




2000.06.22 UPDATE

滝本 誠
text by Makoto Takimoto


出るわ、出るわリンチ系が
レイプだ、吊るしだ、カンニバルだ


 う〜ん、眠いだけで何をやる気も起こらない。5月病か? 気分は新人ですから。ところで宇田川幸洋は、まさかメールでダイレクトに連載を送付しているのではないだろうな? こちらはワープロに打ってプリントアウトしたものをファックスで…という誰にきいてもアホなことをやっている。ただオアシスの親指シフト導入の時期が悪く、もう少し遅ければ、バッチリついていけたのに、なまじ馴染んだばかりに、ついつい縄文後期の様相を呈しているのである。久しぶりに試写に行ってきた。東宝東和の『ルール』である。前回の失敗にこりたか、あまり宣伝的に内容をいじっていないようなので(前回と書いたのはタイトルが思い出せないからである。巨大ワニを「未確認生命体」とするあたりが、東宝東和なのである)、安心(?)して見にいったわけだ。

 見なくてはならない映画では或る。リンチ周辺情報オールゲッターとしては。前回の東宝東和(まだタイトル思いだせない)もビル・プルマン(『ロスト・ハイウェイ』)でいったわけだから。

 今回はなにしろ、いいかね。アリシア・ウィット出演なのら。まことちゃん言葉になったが楳図かずお最近見ないな。デイヴィッド・リンチの最高映像のひとつ『ホテル・ルーム』の『停電/BLACKOUT』のウィットは素晴らしかった。若いネッターに説明しておくと、ウィットは『デューン/砂の惑星』のカイル・マクラクランの妹ね。あのとき8歳。敵を殺し、恍惚として砂漠に舞うあのショットはよかった。クェンティン・タランティーノ・プロデュースの失敗作『フォー・ルームス』にも、マドンナとともにウィットはチョイ役出演。TVドラマ出演はいくつかあるけど、子役デビューの女の子が、なんであれ、成長して主役を張るまで芸能界をサバイバルしているというのは、万にひとつだから、それだけですごいことなのだ。

 まっ、ウィットを見にいったわけだ。タイトルは、ちょっと思い出すね、3日前のことだから覚えていると思ったんだが…。

 おっとっと! なんだこれは、というのがオープニングまでの強烈インパクト。出るわ、出るわ。リンチ系が。

 雨中の夜中、寂しい山道を車で走る一人の女の子。これがナターシャ・グレッグソン・ワグナー(『ロスト・ハイウェイ』)、ガス欠だやばい。

 あっ、よかった、ガソリン・スタンドが。怪しい顔のサービスマンが登場。見れば、おお、ブラッド・ドゥーリフ(『デューン/砂の惑星』、『ブルーベルベット』)ではないか! カードがうまく機能しない、カード会社から電話なので、オフィスにきてほしい。あやしいぜ。レイプだ、吊るしだ、カンニバルだ。否応にも期待は高まるではないか。トビー・フーパーなら、そっちへいっちゃうわけだが。ワグナーが入るとドゥーリフはガチャリと錠を。やっぱりね。レイプだ、吊るしだ、カンニバルだ。

 当然、電話などカード会社からかかってきているなんてことはない。ワグナーは男を痴漢撃退スプレー攻撃、窓から脱出、クルマに戻り急発進させる。追う男。男は叫ぶ。「オレもお前もリンチ系じゃないか。一回ぐらいいいじゃん!」、そうではなかった。ドゥーリフはこう叫ぶのである。これをリンチ系互助精神というのか。
「後部座席に誰かかくれているぞ――!!」

 いやいや楽しかったな。あ、思い出した、タイトルは『ルール』だった。原題は「アーバン・レジェンド(都市伝説)」、『消えたヒッチハイカー』(新宿書房)とか『体内の蛇/フォークロアと大衆芸術』(リブロポート)などでお馴染みとなった、まあ、トイレの花子さん的、口承恐怖話をネタにいろいろひねりを加えたキャンパスものである。もっとも遊んだとおぼしいのが、キャスティングで、『スクリーム2』から、レベッカ・ゲイハート、『ハロウィン4 ブギーマン復活』からダニエル・ハリス、ホラー・ヒロインを集結させ、「都市伝説」(この言葉固いな、「こわい噂話」にしよう)を大学で教えるのが、フレディ(『エルム街の悪夢』)役、ロバート・イングランドというのも怪しくて笑える。

 彼の講義に出てくるのが、もっとも有名な、子供を2階のベッドルームに寝かしつけ、1階におりて休息しているベビー・シッターにしつこくかかってくるイタズラ電話を警察がつきとめると、それは同じ家の2階からだったというもの。赤ん坊が起きて電話していたわけだ。ちがうよね。キミも無言電話注意してね、お父さんだったりして。ちなみにこの「こわい噂話」は『夕暮れにベルが鳴る』という傑作映画でとりあげられた。『シティロード』にライター駆け出しの頃、映画評を書いた記憶があるから、相当の昔だ。

 キャンパスの女性警備員が、パム・グリアー・マニアで彼女の『Coffy』を見ながら、セリフを反芻し、銃の練習をするというマニア向けシーンもある。
(C) illustration by Gogh Imaizumi



『ルール』(原題:URBAN LEGEND)
監督/ジャミー・ブランクス
2000年 アメリカ
1時間40分 9月公開予定
●編集部註:原文のママ。季節の変わり目のせいか、タキヤンのフラッシュバック現象が、今回はいつも以上にヒドく、読んでいて「アレ」という個所があるかと思われますが、面白いので、あえてそのままにしてあります。原作の風味が失われることを怖れての配慮ですので、どうかご了承ください。なお東宝東和の前回の映画は『U.M.A レイク・プラシッド』のことでしょう。ついでながら宇田川幸洋氏の原稿はメールではなく、親指シフトでもなく「手書き」です。


   

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