タンジェリン・ドリーム以来久しぶりのライナーノーツ依頼があり、なにかと思ったらアンジェロ・バダラメンティ・スコアの『ザ・ビーチ』だった。これもリンチ関連仕事といえるかもしれない。
そういえば、この前、京都にある廃墟寸前の生家に帰ってダンボール箱をいくつかあけたら、水分を吸ってボロボロになりながらけなげにサバイバルしていたライナーノーツの古いのがでてきた。『ロバート・フリップ/リーグ・オブ・ジェントルメン』のライナー。マムシのミイラとともに(誰か欲しい人いませんか? ミイラ、何人かに声をかけたが誰も欲しがらない。噛みつかないのに)。
読んでみると、格調たかく、しっかり勉強して書いていて、とても同一犯、いや同一人物のしわざとは思えない。これ、秋か冬に出る予定の評論集に採録してみようかと思い持ちかえって、ちょっと遅めの青春の僕の本刊行に無償で愛を注いでいてくれる平林氏に渡すことにした。勉強文とエモーショナルな訴求力とは異なるが、秋に出す予定の本は両方を兼ね備えたものになるはず。自画自賛というらしいが、ホラ、ボケてるから。だれも信じないがボクの場合、計算されたボケなのね。ケボ。
クリストファー・リーヴ製作・主演の『裏窓』をツタヤで借りてきて、チビをねかしつけてから見たら、TVムービーだが、結構楽しめた。落馬で脊髄損傷で車椅子生活を余儀なくされているリーヴの再起をかけた作品として、あまりにしっくりくる作品、リハビリの映像など、どうしても実生活と重なり最初は辛かったが、平然と覗きを楽しむ脚本の開き直りがすごく、これはまさに「見る」、「覗く」しかないリーヴのためのムービーといえるのである。デンゼル・ワシントンも『ボーン・コレクター』の主役をリーヴに譲れば、男をあげたろうに。あとはアイアンサイドのニュー・シリーズでもできれば、ヒッチコック『裏窓』の犯人から、車椅子のアイアンサイドへと転身したレイモンド・バーを奇妙なかたちでリーヴは追走できるかもしれない。しかし、スターの再起を助けるシステムがアメリカには存在する、そのことに心を打たれた。
ついさっきに見てきたリドリー・スコットの『グラディエーター』は、脚本がすばらしい。シェークスピア悲劇を思わせ、復讐、家族愛、近親相姦、陰謀劇と単純化されてはいるが、ストーリーの骨が実にしっかりしていて堪能した。リドリー・スコットは今、『ハンニバル』撮影中だが、『グラディエーター』のヒットで、いっそう力が入るのではないか。スコットはまたしても「一枚の絵」からドラマの血みどろの恍惚を理解して撮影に挑んだようだが、「絵」につきうごかされたときのスコットは『ブレードランナー』のときのようにつよい。この「絵」はボクにヴィクトリアン絵画へ再び帰ることを促し、あらたな論考へ導くだろう。
と書いても、なにがなんだかかもしれないが、とりあえずボクだけが興奮しているのである。秋ごろには興奮を分けてあげるね。
