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#9 性格がまろやかになったおれが選ぶ今年の映画ベスト1

#8 柔道金世界一、ナンボのもの。オレだって「獣道」金メダルの滝本誠!

#7 ハンニバル・サマー・イン・フィレンツェ

#6 “激しい雨”滝本誠ライブIN東京大学−

#5 出るわ、出るわリンチ系が レイプだ、吊るしだ、カンニバルだ

#4 まだまだリンチの原稿は書ける。以前に何を書いたか忘れているもんね。

#3 “赤い部屋”の歌手ジミー・スコット 極上ライブは魂の血で真っ赤に染まった…

#2 乳頭をおいしくいただくことができた 今日という、すばらしい一日。

#1 NKホールでレズナーは言った。「サンキュー・ベリーマッチ」
 




2000.05.27 UPDATE

滝本 誠
text by Makoto Takimoto


まだまだリンチの原稿は書ける。
以前に何を書いたか忘れているもんね。


 7月に東大駒場で川勝正幸氏が受け持つポップ講座(学生の自主運営ゼミでもちろん単位非認定)でしゃべることになりそうだが、さて、さて。テーマはデイヴィッド・リンチである。あがるので人前でしゃべるのは苦手である。たいてい何を言っているのかよくわからなかった、といわれる。

 まず恐怖は人の名前や作品名がすぐに脳に点灯するかどうかである。リンチの名前もときどき忘れる。ええっと殺人でそういうのがあったな。そうだリンチ殺人。こうした連想法でリンチにたどりつくわけだ。高IQの脳にボケ菌を移してみたい。統計的に東大卒の女の子とは青山学院の女の子ともどもこれまで相性はいいのでよろしくです。

 参加者は10人くらいだと思うけど最後までいてくれた子にはちょうどコムストックからリリースされたばかりの、リンチのDVDを計8名様に抽選でプレゼントしたい。お詫びとして。 と考えておりますのでよろしくです。他大学の学生も大学通り抜けの主婦もオーケーの講座です。まあ、期待は裏切りますので、よろしくです。

 しかし、LDはどうすればいいのか? 200枚ぐらいしかないが、いまやDVDに圧倒されてしまい、同じ光学式だからサイズ・ダウンだけといえばいえるが、それにしてもLPからCDへのチェンジとおなじで、なにか虚しい。『セブン』とか、『エイリアン』とかボックス入りの豪華仕様、特典映像付きのものはすばらしい出来だったわけだが。

 コムストックはリンチ・ボックス・セット(『イレイザーヘッド(完全版)』『デューン/砂の惑星(劇場公開版)』『デューン/砂の惑星(TV放映長尺版)』『ブルーベルベット(無修正版』))を『ストレイト・ストーリー』公開にあわせリリースしたわけだが、その解説を小生が担当したのである。まだ書くことがあるのか、と誰かから言われたような気がするが、以前に何を書いたか忘れているし、リンチなら言葉がわらわらとわきあがってくるから、別に屁でもない。


『裏窓』のクリストファー・リーヴは
レイモンド・バーを追走できるかも…。


 タンジェリン・ドリーム以来久しぶりのライナーノーツ依頼があり、なにかと思ったらアンジェロ・バダラメンティ・スコアの『ザ・ビーチ』だった。これもリンチ関連仕事といえるかもしれない。

 そういえば、この前、京都にある廃墟寸前の生家に帰ってダンボール箱をいくつかあけたら、水分を吸ってボロボロになりながらけなげにサバイバルしていたライナーノーツの古いのがでてきた。『ロバート・フリップ/リーグ・オブ・ジェントルメン』のライナー。マムシのミイラとともに(誰か欲しい人いませんか? ミイラ、何人かに声をかけたが誰も欲しがらない。噛みつかないのに)。

 読んでみると、格調たかく、しっかり勉強して書いていて、とても同一犯、いや同一人物のしわざとは思えない。これ、秋か冬に出る予定の評論集に採録してみようかと思い持ちかえって、ちょっと遅めの青春の僕の本刊行に無償で愛を注いでいてくれる平林氏に渡すことにした。勉強文とエモーショナルな訴求力とは異なるが、秋に出す予定の本は両方を兼ね備えたものになるはず。自画自賛というらしいが、ホラ、ボケてるから。だれも信じないがボクの場合、計算されたボケなのね。ケボ。

 クリストファー・リーヴ製作・主演の『裏窓』をツタヤで借りてきて、チビをねかしつけてから見たら、TVムービーだが、結構楽しめた。落馬で脊髄損傷で車椅子生活を余儀なくされているリーヴの再起をかけた作品として、あまりにしっくりくる作品、リハビリの映像など、どうしても実生活と重なり最初は辛かったが、平然と覗きを楽しむ脚本の開き直りがすごく、これはまさに「見る」、「覗く」しかないリーヴのためのムービーといえるのである。デンゼル・ワシントンも『ボーン・コレクター』の主役をリーヴに譲れば、男をあげたろうに。あとはアイアンサイドのニュー・シリーズでもできれば、ヒッチコック『裏窓』の犯人から、車椅子のアイアンサイドへと転身したレイモンド・バーを奇妙なかたちでリーヴは追走できるかもしれない。しかし、スターの再起を助けるシステムがアメリカには存在する、そのことに心を打たれた。

 ついさっきに見てきたリドリー・スコットの『グラディエーター』は、脚本がすばらしい。シェークスピア悲劇を思わせ、復讐、家族愛、近親相姦、陰謀劇と単純化されてはいるが、ストーリーの骨が実にしっかりしていて堪能した。リドリー・スコットは今、『ハンニバル』撮影中だが、『グラディエーター』のヒットで、いっそう力が入るのではないか。スコットはまたしても「一枚の絵」からドラマの血みどろの恍惚を理解して撮影に挑んだようだが、「絵」につきうごかされたときのスコットは『ブレードランナー』のときのようにつよい。この「絵」はボクにヴィクトリアン絵画へ再び帰ることを促し、あらたな論考へ導くだろう。

 と書いても、なにがなんだかかもしれないが、とりあえずボクだけが興奮しているのである。秋ごろには興奮を分けてあげるね。
(C) illustration by Gogh Imaizumi


今回の押収物件:
デイヴィッド・リンチBOX

ジャケのダークな雰囲気もよい初期傑作群DVD・BOX。各巻映像特典収録、タキやん入魂の解説書入りでスペシャル・プライス¥19,800!


 

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