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ドタバタ・コメディは吉行由実監督の新境地!?
『浮気なぼくら』
吉行由実監督の1年半ぶりの新作だ。脚本は出演もしている今泉浩一。このコンビは青春ゲイ・ムービーの佳篇となった『僕は恋に夢中』と同じである。
タカユキとがっちゃんという2人の若いゲイ・カップルが主人公。ストーリーは、年上のがっちゃんの誕生日を祝おうとケーキを用意して待つタカユキの気持ちをよそに、当のがっちゃんは行きずりの男と彼の家で濃厚な浮気をしている。愛の巣へ戻っても、がっちゃんはタカユキにシャーシャーと浮気報告をする有り様で、キレたタカユキは「僕も浮気をしてやる」と夜の新宿へ繰り出していく。しかし、遊び方を知らないタカユキは、ゲイバーのマダムにデブ男(バカ映画監督の中野貴雄)を充てがわれたり、ボッタクリ・バーのホステスと3人の外国人に37万円も吹っかけられたりと散々な目に合うというアフター・アワーズが展開されていく…。
一応、ドタバタ風ロマンチック・コメディのようだ。吉行は新生面を狙っているのではと思う。しかし、コメディは難しい。短期間の撮影をこなすには役者が不足している。『僕は恋に夢中』と比べると、キャラは決していいとは思えないからだ。がっちゃんを演じる俳優にインパクトを感じない。悪い奴じゃないが浮気症が抜けない身勝手な男を演じているが、全てに冴えない。彼を見ていると、男とセックスできるなら誰でもいいようで、浮気よりも病気の方が心配だ。作品の足を引っ張っている。このキャラは、本来は暴力的でなければいけないと思う。例えば、上野俊哉監督の快作『どすけべ姉ちゃん』における佐藤幹雄のように。つまり、いちおうハンサムであることも必要なのだな(実際、彼を想定していたのかもしれないが…)。
作品全体として見ると、浮気症だが、最後の一点ではタカユキの心情を理解し、愛情を持っているがっちゃんが、懸命にタカユキを取り戻そうとする行動がメインのドラマとなっているのだが、ストーリー上の突拍子もないギャグが全面に出過ぎているので、ドラマとしては希薄であった。かえって、存在感とキャリアの賜物か、成りゆき上、2人の関係修復に陰ながら貢献することになる岡田の優しさが光る。吉行作品は軽さが特徴なのだが、今だ男っぽさというものに無縁な岡田のソフトな持味は、吉行の映画にはいつもはまっているように見える。それがベストと思いたくはないが、妙に似合うから困る。
これもいつものことだが、吉行という人は密室での性愛シーンの演出が上手い。タカユキが覗き見る公衆トイレでのホモ・セックスの迫力は前作と同じ(男の一方が脚本の今泉浩一というのも同じ。もしや実際にハード・ゲイ?)。この映画での演出の中で圧倒的に抜きんでている。つまり、いちばん印象に残る!
吉行由実は演技力のある個性的な女優だ。
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©ENKプロモーション
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『浮気なぼくら』
監督:吉行由実
脚本・出演:今泉浩一
撮影:喜久村徳章
出演:千葉尚之/伏見右京/岡田智宏/山本東/本田唯一/大塚隆史/中野貴雄
2001年日本
1時間
配給:ENKプロモーション |
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しかも役者バカであり、ピンク女優としての全盛期には、多数の作品に出演して身体を壊してしまったほどの演技の虫。 その力量は一般映画でも定評のあるところで、『D坂の殺人事件』では真田広之の相手役を務めたこともある。最近では『血を吸う宇宙』のエイリアン?役が傑作。上田耕一との無気味なコンビネーションが映画に雰囲気を与えていて実におもしろい。『−LESS』での売春スナックのママ役も説得力ある役作りをしていて秀逸。演技者としての吉行にハズレは考えられないほどだ。画面に姿を見せてくれることがこれほど楽しみな女優は、ちょっと他には見当たらない。
この映画にはワン・ポイント的に登場する人物がかなりいるが、監督の吉行に相当するほどのインパクトのある俳優が、実は全く見当たらない。(バカ映画監督もご同様)。それが吉行の不幸であった。
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