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第1回プロローグ
第2回 『僕はAVをバカになどしていない。“スクリーン主義者”なだけだ!』
第3回 『ピンク映画のパイオニアが手がけたTV動物映画と大阪で遭遇』
第4回 『探検隊なのだから、たまには試写室を抜けて映画館へ』
第5回 『わずか数日で1時間の作品を作りあげるピンクの世界のプロとはそういうものだ』
第6回 『メイキングビデオや一般作など従来のフィールド外で活躍するピンク監督』

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(前頁からの続き→)

中年タクシードライバーの再生を描いた
名バイプレーヤー、田中要次主演の異色作


『痴漢タクシー エクスタシードライバー』


©新東宝映画
 
 
  ピンク版『タクシードライバー』として'99年に製作された異色の成人映画だが、今回はビデオ化に際しての改題『暴行タクシー 疾走る密室』として上映。“疾走る”と書いて“つっぱしる”と読む。凄そうな題名だが本編には暴行らしきシーンはなく、客が出入りするから密室とは言えない。詐欺だな(笑)

 主役のドライバーを個性派俳優の田中要次が演じていて、現時点で彼の代表作と言えそうだ。彼のパーソナリティと演技力が役柄にピッタリと合っている。リストラにあって、会社をクビになり、そのせいで恋人(佐倉萌)にもフラれてタクシー運転手になった男(田中要次)が、様々な客たちと出会うなかで自己に目覚めていくもの。低予算に変わりはないが、構成もキャスティングも良く、(監督本人の持ち出しがありそうだ)、名画の焼き直し、パクリと分かっていても、最後までマジメに見ていられるのがいい。

 『タクシードライバー』では監督のマーティン・スコセッシ本人が演じた不気味な客は、本作ではキレた中年ヤクザに置き換えられているが、すること成すことがアホの見本みたいなこのヤクザの使い方はおもしろい。リアリティのかけらもないキャラだが、この男の惨めすぎる死にざまがブラックな笑いを呼び起こし、その後に続く強引なストーリーの終わらせ方も、なぜか納得してしまう。ベタベタしない新里猛作の演出はかなり買える。今年の“Pー1”で彼は、ゲイ・ムービー『デッドライン〜島唄よ、響け 男たちの魂に』を出品しているが、そちらは沖縄でのロケーション(だったと思う)まで実現させ、やはりヤクザが出てくる。ピンクで何を撮ろうと、彼にはヴァイオレンスが必要なのか? 武闘派だな、この人は。いずれにせよ、安っぽさを極力感じさせない絵作りは評価するべきだ(思想は感じないけど)。両方とも余韻を残すところがいい。

 友松のシナリオはピンクのレベルではかなり分厚かったらしいが、できあがったものを見てもどれほどかは自分には分からない。

©新東宝映画
 
『痴漢タクシー エクスタシードライバー』
監督:新里猛作
脚本:大河原ちさと
プロデューサー:友松直之
出演:田中要次/奈賀毬子/佐倉萌/風間今日子/けーすけ/隆西凌/山科薫/ 草野陽花/成尾文敏/久保新二
1999年日本
1時間2分
配給:新東宝映画
この映画は演出とキャスティングがいいから(小人の大家は秀逸)ホメられるが、『タクシードライバー』があるかぎり、脚本は手放しにはホメられない。盗用は盗用だ。しかし、既に確立されたバリエーションを活かすのは巧みなのだろう。例えば『難波金融伝 ミナミの帝王』なんかに友松の腕前はよく出ている。劇場版のシリーズ15作『商工ローン 保証人の落とし穴』なんかは、通常の金がらみのイザコザに、テキ屋の世界の構図や生活感、警察との関係が上手く描写されていて、非常に入り組んだ人間関係が分かりやすく書かれている。そこらへんはB級オールスター『なにわ忠臣蔵』('97)のシナリオも同じだった。良く言えば、“職人芸”の面がある。ただし、昔の職人ではないぞ。パソコンを使い、データを巧みに駆使した現代の職人だ。だから生な“職人肌”は感じとれない。かなり多くの作品で彼の名前を目にしながら(評判の高い『コギャル喰い 大阪テレクラ篇』も見ているのに)、今日まで記憶できなかったのもそのせいかもね。
 




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