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第1回プロローグ
第2回 『僕はAVをバカになどしていない。“スクリーン主義者”なだけだ!』
第3回 『ピンク映画のパイオニアが手がけたTV動物映画と大阪で遭遇』
第4回 『探検隊なのだから、たまには試写室を抜けて映画館へ』
第5回 『わずか数日で1時間の作品を作りあげるピンクの世界のプロとはそういうものだ』

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加藤久徳
text by Hisanori Kato

 第6回 
『和服熟女 三十路のさかり』/
『韓国妻 昼下がりの不倫』

メイキングビデオや一般作など
従来のフィールド外で活躍するピンク監督


 現時点で、ほとんど“あの人は今”状態だった往年の“ピンク四天王”のひとり、佐藤寿保の名前をスクリーン上で発見した。向井寛監督の新作『LastDance−離婚式−』のエンドクレジットの終わり近くに“メイキングビデオ監督”の肩書きでクレジットされていたのだ。正直言って驚いたが、とにかく本編の現場復帰に変わりはないかなと思いつつ、“頑張って!”とエールを送るほかはない。何もしないよりはマシだから。ただ、映画の出来が今一つだったのが気がかり。本人の責任ではないけれど、こうなったら本編より面白いメイキングに仕上げるのが鬼才・佐藤寿保の義務だな。ついでに予告編も作ってみたらどうか? 大いに観客をダマくらかし、才能の片鱗を見せて客を呼んでほしいよ。

 某日、新橋にあるTCC試写室(ここはピンク映画の雄・国映が経営している)でクラシックな記録映画の試写会があったので出かけたが、そこでちょっとした顔見知りの姿を見た。茶髪の若い男だが思い出せない。しかし、どこかで話をした記憶がある…。


ピンク映画の祭典P−1が“P−1 GRAND-PRIX 2001”として、今年も10月19日(金)のオールナイトを皮切りに中野武蔵野ホールにて開催決定! 新旧16人の監督たちがトーナメント形式で覇権を競う!
 この日の試写は2プログラムあって、その休憩の合間に軽い食事(上寿司だった)を記録映画の主催元のK社社長たちととっていたとき、隣の部屋で先程の若い男がK社の重役たちと面談をしている姿を見たのだ。その部屋から戻ってきたK社の重役さんに「あれは誰ですか」と尋ねると、重役いわく「売れない大根役者ですよ」と吐き捨てるように答えてきた。なぜかその瞬間、ハッと思い出した。前回、このコラムで書いた「演劇集団・戦力外通告」の『芸人セレナーデ』に出ていた男優のAではないか?と。あの時は森田真光に呼ばれて出かけたが、その帰りにメイクのまま客を見送っていた役者たちの中で唯一、言葉を交わした相手がAだった。彼は、舞台に出ている出演者の中でピンクのゲイ・ムービー出演者が3人いると言っていた。

 この日、帰宅したあと「P・G」を読み返してみると、今年の3月公開作品の中に彼に似た顔写真(と言うよりキス・シーンだが)と、よく似た名前が載っている(将来を考え、本名や通常の芸名で出ない俳優が多い)映画を見つけた。映画は浜野佐知監督の『微風のシンフォニー』で、Aは恐らく主役なのではないか? それにしても“売れない大根役者”と陰で言ってのけるのはひどい。重役はAをどの程度知っているというのだろう。Aは映画製作に乗り出すらしい新興会社K社に売り込みの面接に来たらしく、一生懸命だったと思う。面接の結果は重役の反応で想像はつくが、なんかムカついてくる。別の社員に「御社では、どんな映画をお作りになるのですか?」と尋ねると「まだハッキリ決まってません」と、言葉につまった調子で言われた。一体Aは、何の面接に来たのだ? なんか暗いよな…。

 またまた長くなったが、ピンクネタをもうひとつ。先程の『微風のシンフォニー』の浜野佐知監督が久々に撮った一般映画を見た。タイトルは『百合祭』(“ゆりさい”と読む)で、老人女性ばかりが住む閑静なアパートに魅力的な男性(ミッキー・カーチス=若き時代を想起させて、この人でなければと思わせるほどの適役好演だ)が引っ越してくるお話。69歳以上の完熟男女の心温まるヒューマン・ドラマと思うとさにあらず、一人の男を巡る女たちのドロドロした愛欲のドラマで、おかしくもイヤラシイ面白い映画だ。タイトルの“百合”が何の意味か分かる人には、先の展開も想像がつくだろう。

 “300本の成人映画を作った女性監督”ということで世界的にも話題になった浜野監督にとって、岩波ホールでロードショー公開された『第七官界彷徨−尾崎翠を探して』以来の一般映画第2作で(本人はこの映画を、なぜか302本目と言っていた)、映画の完成度はテクニックに溺れた1本目より上だ。カメラをじっくりと構え、そこここにピンク映画の雰囲気が漂うのがいい。吉行和子をはじめ有名俳優が多数を占めるが、助演陣はベテランの野上正義、小川真実、佐々木麻由子、風間今日子とピンク勢がズラリ。カラミのない彼らの普通の演技も悪くない。

 あとで考えると(前回も書いたが)、“年に1度の大作”としてピンクの路線の中でこの作品が作られたのならピンク映画界も期待が持てるのだが、現実でのこの映画の扱いは、いわゆる自主上映や映画祭(9月の京都映画祭など)がメインのインディペンデント映画。ピンク映画の質の拡充には無関係だ。その意味でこの愛欲ドラマ、“ご勝手に!”というのが本音である。




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