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第1回プロローグ
第2回 『僕はAVをバカになどしていない。“スクリーン主義者”なだけだ!』
第3回 『ピンク映画のパイオニアが手がけたTV動物映画と大阪で遭遇』
第4回 『探検隊なのだから、たまには試写室を抜けて映画館へ』
第5回 『わずか数日で1時間の作品を作りあげるピンクの世界のプロとはそういうものだ』
第6回 『メイキングビデオや一般作など従来のフィールド外で活躍するピンク監督』
第7回 『数々のピンク映画で助監督を務める新進舞台演出家のお手並みを拝見』
第8回 『山形の映画祭で巡りあえた、ピンク映画の始祖的作品2本』
第9回 『“ピンク界のデビット・リンチ”によるゲイ・ムービー』
第10回 『ピンク映画専門誌「P・G」が季刊に嗚呼、月刊の紙媒体が消えてしまう』

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同窓会気分が楽しい
港町を舞台にした友情物語


『愛染恭子むさぼる未亡人』

 ピンク映画のタイトル(題名)は、内容とかけ離れている場合が多い。当然のことながら見終わると忘れてしまい、思い出すのに一苦労する。2、3年経つと新版と称して別題名で再映するケースが多々あるし、ビデオが販売されるときには、また別のタイトルに変わっている。題名だけではピンク映画は判別できない。現場に携わった人たちも、シナリオ脱稿時のオリジナル・タイトルで呼び合うのだそうだ。例えば、今岡信治監督の'95年作『獣たちの性宴 イクときいっしょ』などは、オリジナルの『彗星まち』と呼び合うそうだ。

 さて、『愛染恭子むさぼる未亡人』は一見すると、往年の本番女優・愛染主演の濃厚な淫乱ポルノと思えるが、実際は違っている。ピンク映画界の大ベテラン、野上正義と久保新二が幼友達の老人に扮して熱演する。万感胸迫る友情の物語であり、エンド・タイトルでは2人がクレジットのトップを張っていて、愛染は脇役として扱われている。実際、彼女は艶っぽい床屋の女将としてカラミのシーンこそあるものの、本筋にはあまり関係ない脇役だった。ポスターやタイトルに名前と顔が大きく出ているのは、彼女の豊満なエロを期待する中年以上の観客を釣るためである。しかし、あざといな…。


(C)新東宝映画
 映画は楽しめる。ピンク映画に詳しい人が見れば同窓会気分でこの作品に接することができるはずだ。「映画芸術」片手では無理なシロモノでもある。劇中では、野上が“ガミチャン”、久保が“久保チン”と実際の愛称で呼ばれるし、同じく“ピンク映画界のジン・キニスキー”港雄一がそのまた友人役で出演し、確か“ポンちゃん”と呼ばれていた。おそらく実際の愛称なのだろう。完全な楽屋落ちで構成されている。

 何十年ぶりかで故郷の町に帰ってきた老人の野上(30年前くらいのお上りさんルックである)が、今では落ちぶれてキャバクラか何かのポン引きをやっている旧友の久保と再会する。彼に連れられて行った先が、昔のマドンナだった愛染の経営する理髪店。彼はここに滞在しながら、亡き親友の未亡人と往時を偲んだり、少年時代の遊び場だった懐かしの港の開発を阻止すべく、深く静かに活躍する感動の物語である。

 久保と女子高生、愛染と若い社員(樹かず)とのカラミも巧妙に盛り込んで、ピンクとしての目的はかなっている。野上老人の正体が大企業かなにかの会長というのが、いかにもだが、同窓会映画であるから違和感は感じない。ピンク映画全盛期を象徴する3人の名優の枯れた演技が主役の形で見られるだけでも、この映画には価値がある。若い頃から老け役が得意だった野上が、30年くらい前のジイ様のスタイルで出てくるオカシサは、
 
『愛染恭子むさぼる未亡人』
監督:川村真一
脚本:友松直之/大河原ちさと
撮影:中本憲政
助監督:坂本礼
出演:野上正義/久保新二/愛染恭子/藤ひろ子/港雄一/篠原真女/藤田明日香/樹かず
日本
1時間
配給:新東宝映画
 
それだけで山本晋也の世界がバック・トゥ・ザ・フューチャーしているようで笑わせるのだ。 しかし、それ以後のシーンが今一つ笑えないのは、もはや老け役ではなく、野上も久保も本当に年をとってしまったためで、どうしても哀感の方が強くなる。だから“感動の物語”となるのだが、老けメイクでいいから豪快な健康優良老人を出してほしかった。港雄一が本来、その役どころだったのだろうけど、途中で彼はいなくなっている。彼らと同時代のピンク男優だった松浦康が懐かしい。彼はどこへ消えたのか?




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