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第1回プロローグ
第2回 『僕はAVをバカになどしていない。“スクリーン主義者”なだけだ!』
第3回 『ピンク映画のパイオニアが手がけたTV動物映画と大阪で遭遇』
第4回 『探検隊なのだから、たまには試写室を抜けて映画館へ』
第5回 『わずか数日で1時間の作品を作りあげるピンクの世界のプロとはそういうものだ』
第6回 『メイキングビデオや一般作など従来のフィールド外で活躍するピンク監督』
第7回 『数々のピンク映画で助監督を務める新進舞台演出家のお手並みを拝見』
第8回 『山形の映画祭で巡りあえた、ピンク映画の始祖的作品2本』
第9回 『“ピンク界のデビット・リンチ”によるゲイ・ムービー』
第10回 『ピンク映画専門誌「P・G」が季刊に嗚呼、月刊の紙媒体が消えてしまう』
第11回 『ピンクとは違う分野へ進出し精進する俳優たち』
第12回 『ただでさえ小屋数の少ない成人映画専門館がまたひとつ閉館してしまう。哀しい話だ。』
第13回 『どこにこれだけのピンク映画ファンがいたのか?と思えるほど、今年のピンク大賞は盛況だった』






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『OL発情 奪う!』

奈賀毬子の女優スピリットが感じられる
池島ゆたかプロデュースの世紀末ピンク



(C)新東宝映画
 俳優で監督の池島ゆたかがプロデュースするパンク風世紀末ディザスター・ピンク。一応パニック映画の範疇に属する。なにしろ大地震によって倒壊寸前のビルの中が舞台背景なのだから。

 タイトルどおりOLらしき女性は出てくるが、主人公は孤児院上がりの蓮っ葉娘(奈賀毬子)とその年下の友達。泥棒目的で忍び込んだビルが地震のため脱出不可能状態となり、そのため居合わせた人々がヒステリー症状となって、手に負えぬ乱交状態に発展していくもの。

 自分がすぐに思いだしたのはロジャー・コーマンの'60年作『地球最後の女』。C級低予算を逆手にとり、ひとりの女をめぐる2人の男の葛藤とバイオレンスを、画面に人を出さないだけで人類滅亡映画にしてしまったゴマカシぶりの上手さが印象的だった。この『OL発情 奪う!』はコーマンと無関係に思えるが、エロスで客を呼ぶ目的においては一緒だ(日本のオジサン的に考えれば、コーマンという名前自体がいやらしい響きに感じるだろう)。


こちらは『異形ノ恋』(2002)。写真左が奈賀毬子
2003年1月25日よりシネマ下北沢で再映決定
 コーマンという人は、エロとアクションを前面に掲げた誇大宣伝で客を釣る名人であり、ポスターだけを見れば、ピンク映画も傾向としては似たようなものだ。しかし、俳優、スタッフ全員の力がガッチリと入っている点で、42年後の本作に軍配を挙げたい。特に、キレた不良娘を演じる奈賀のなりきりぶりには目を見晴らされた。事務机の上で無修正の全裸となり、ダンスに興じる狂態が女優のスピリットを感じさせる。はっきり言って見直した。一般映画だが『異形ノ恋』で奈賀が見せた、まるで『道』('54)のジェルソミーナのように無垢な心を持つ薄幸の娘役の好演と共に、今年の奈賀は非常に充実していると思う。

 それでもこの映画にはひとつだけ不満がある。彼女の相棒である少年役の男優が、奈賀と同じく全裸にならないこと。と言うより、スッポンポンになる前に場面が切り替わっている。これがフランスやイタリア映画なら、確実に素っ裸を見せている。男女同権だよ。でなければ、例の張り型、疑似ペニス装着になるのではないかな。きっとそうだ。いや、もう必要なのだよ。劇映画の凄味を出してAVに勝つためには。ご常連のおじさん観客は男の○○なんか見たくないだろうが、1本の作品として評価するなら、男女両方脱ぐと脱がないとでは開きがあると思う。なんたってピンクは成人映画なのだからね。

『OL発情 奪う!』
監督・脚本:後藤大輔
プロデューサー:池島ゆたか
撮影:清水正二
出演:奈賀毬子/坂本ちえ/酒井あずさ/平山久能/新納敏正/江端英久/松木良方
2002年日本
配給:新東宝映画
 最後に、舞台となるビルの室内は、配給元でもある新東宝のオフィスである。本当に部屋を壊したのだそうだ。それだけでも立派。低予算映画の帝王ロジャー・コーマンの域を凌駕していると思う。(☆☆☆)





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