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2000.08.05 UPDATE
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木村ひろみ
text & photo by Hiromi Kimura
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夏の夜の上映会はなんと無料
涼しい夜風と映画を楽しむ・・・
映画好きにとって、パリの夏は監督を絞った作品やリバイバル作品を集中して見るのに絶好の機会を与えてくれる。シネマテークに通
い詰めなくても、パリに数多くあるアートシアターが提案するバラエティに富んだ特集をはしごするだけで、映画についての知識や教養をかなり豊かにすることができる。
2、3年前までは夏といえば、質よりも娯楽性を重視した新作、特にアメリカ映画作品が多く公開される期間で、私のようにフランス映画を中心に見て物を書く者にとっては、息抜きできる唯一の期間がこの2ヶ月だったのに、今年はなんと27本のフランス映画作品が、7‐8月の2ヶ月間に公開され、1年のリズムが見事に崩されてしまった。バカンスが「聖なるもの」というフランス人の感覚が廃れたのか、長すぎるバカンスに飽きて映画館へ足を運ぶ人の数が増えたのか…ただ、公開される新作すべてが、もちろん秀作というわけではないので、選択は慎重に行いたい。
映画好きにとって夏のパリといえば、もうひとつ今年で11年目を迎えるヴィレットの野外上映会を挙げることができる。ご存知のとおり、ヨーロッパの夏の一日は長い。6月末の夏至を頂点に日照時間は次第に短くなっていくといっても、バカンスの終わる9月はじめまでは夜9時頃まで灯りなしでも本や新聞が読めるほど表は明るい。おまけにいくら昼間暑くても、夕方になると涼しくて気持ちのいい風が肌をなで、すぐに家に帰るのがもったいない、もう少し外に残っていたい…という気持ちになる。
月曜を除く毎日22時から始まるヴィレット公園(パリ19区)の上映会は、そんな夏にしか味わえない野外の開放感を楽しもうと、食前酒の時間、19-20頃から飲み物や食べ物を持って集まるグループで賑わい始める。サンドイッチとビールで腹ごしらえを簡単に済ませる人もいれば、ナイフとフォークを使い肉などを切り分けちゃんと食事をしている人々もいて、とても和やかな雰囲気。皆が食べている奥に設置されている13,5mX26,5mの巨大スクリーンが見えなければ、この後に映画が上映されるなんて誰も想像もしないだろう。
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上映はもちろん日没の後の22時からで、暗闇の中でスクリーンを見つめる、という基本はちゃんと尊重されている。この時間になると、芝生は少し湿っぽくひんやりしてくるし肌寒くもなってくるから、希望者は40フランで長椅子と毛布セットを借りることができる。「そんなの必要ないよ」という頑丈組や、すべてを持参してくる用意周到組にとっては、一銭もお金がかからない。そう、この野外上映会は完全入場無料なのだ。11年前に始まってから、年々口コミで評判がひろがり、10年目の昨年は開催中延べ20万人が訪れた。そしてその成功が奏し、今年は通常より2週間長い9月3日まで開催される運びとなった。
夏らしくない肌寒い一日となった7月15日、第11回野外映画祭FESTIVAL DE CINEMA EN PLEIN AIRは、10人で編成されるオーケストラに伴奏されたエリッヒ・フォン・シュトロハイムの作品『グリード』(1923)の上映で幕を開けた。これから43本の映画作品が9月のはじめまで上映される。今年のテーマは「大きなスペース」で、ヨーロッパや北米だけではなく、アフリカ、南米、アジア、中近東出身の作品も上映対象となっている。
「FESTIVAL DE CINEMA EN PLEIN
AIR」プログラム
このヴィレットの映画祭FESTIVAL DE CINEMA EN PLEIN AIR以外にも、CINE SITESというもうひとつの野外上映会フェスティバルがある。ボルドーのジャン・ヴィゴセンターが1993年に始めたこの映画祭の特徴は、歴史建造物(城や修道院など)を上映の場にしてしまうことで、今年のプログラムから例を挙げれば、ロマン・ポランスキーの作品『テス』は、撮影地であるユベルヴィル=ナクヴィル城で上映され、マルセル・カルネの『悪魔が夜来る』はシャルトル大聖堂前で上映される、というように、上映作品と上映場所になんらかの関わりを持たせてある。
フランス以外にもベルギー、イタリア、スペイン、リュクセンブルグを日替わりでまわるこの映画祭、バカンスの途中で運よく出会ったら、是非覗いてみたい。
(詳しいプログラムは www.cinesites.tm.fr
でどうぞ。)
photo:denise bourbonnais
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