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第6回「衣装と小道具の貸し出し専門店」

第5回「パリの観客と日本映画の「今」」

第4回「割引パスと託児システム」

第3回「ヴィレット公園の野外上映」

第2回「検閲システムと不運な処女作」

第1回「フランス映画料金あれこれ」
 




2000.05.13 UPDATE



木村ひろみ
text & photo by Hiromi Kimura


第1回
フランス映画料金あれこれ


いたれり尽くせりの割引サービス
一般料金も一律ではないのだ


日本に比べると、たしかにフランスは映画料金が安い。半額以下だ。おまけに朝の割引システム、アートシアターのみとはいえ毎週月水曜の均一割引料金制、各映画館グループが提案するプリペイドの割引カードや様々なイベントを利用すれば、テラスでカフェを一杯飲むくらいの料金は浮かすことができる。

イベントといえば、先週(フランスでは毎週水曜日に新作が発表され、合わせてプログラムが変わるので、一週間とは水曜日から火曜日のことを指す)パリで行われた「18時、18フラン」は、約350の上映室で17時から19時までの回の入場料が一律18フランになるというもの。これはパリ市が主催するイベントだが、この他にも全国規模の「春の祭り」(3日間どの回でも20フラン)、「映画の祭り」(夏休み前の大きなイベントで、一度一般料金を支払えばその後は10フラン支払うだけで3日間映画が見放題)などがある。


パリで実施された割引サービス「18時、18フラン」のポスター

こんなにいたれり尽くせりだと割引のない一般料金を支払うのがばかばかしくなってくる。しかも、ここでいう一般料金も日本のように一律ではなくて、同じ映画を見るのにも映画館によって10フラン以上の差が出てしまうことがあるのだ。

例えばウェス・クレイヴンの新作《SCREAM3》をパリの8区で見たいとする。シャンゼリゼにあるUGCでは55フランを支払わなくてはならないのに対し、少し外れたサン・ラザール駅に近い映画館だと45フラン支払うだけで済む。場所代だ、といわれればそれまでだが、この違いはなんだろう? 誰が入場料金を決めるのだろう? という素朴な疑問のために、FNCF(フランス国立映画館連盟)に電話をしてみた。

親切な応対の広報は、1986年から入場料金は、各映画館と配給会社との間で決めていいことになった、つまり自由市場なのだ、と説明してくれた。だから、昨夏からボルドーなどいくつかの地方都市ではマルチプレックス映画館同士がしのぎをけずる価格競争を展開し、入場料が「25フラン!」「20フラン!」と、バナナのたたき売りのごとく大安売りされた。まあ、安売りするに値する映画作品は五万とあるから嘆くことはないし、わたしたち消費者は多いに利用するべきだと思うけれど、少し節操がないような気もする。映画はフランスでは「第七の芸術」ですから、一応。

ちなみに、パリでいちばん安い一般料金はカルチエラタンのはずれにあるアートシアターIMAGES D'AILLEURS の35フランで、一番高いのは先に挙げたシャンゼリゼに3つあるUGCの55フラン。この料金差の裏にはもちろん(1)スクリーンの大きさ、(2)座席の居心地、(3)場所代(高田馬場と銀座大通りの違いのようなもの)など諸々の条件があるのをお忘れなく。

ポルノ映画館BEVERLEYの外観。私が行った午前11時〜11時半の間にも7〜8人の人の出入りがあった。もちろん全て男性…


BEVERLEY入口の料金表示

一度も行ったことはないけれど、数少ないポルノ映画館の生き残りであるパリの2区にあるBEVERLEY(ビヴァリー・ヒルズから名前をとったというけれど…)の料金は少し変わっていて、午後1時前に入れば42,95フラン、それ以後だと49,95フランで、『早熟セックス女』『野生的フェラチオと肛門支配』なんて凄い題名の作品が2本立てで見られる。

ここに来る人たちは、一般料金50フランを出すと一番小さな硬貨5サンチームをおつりにもらうわけだけれど、約1円をわざわざおつりにもらってみんな入場するのだろうか? それとも前もって小銭を準備するとか? 中でかかっている映画より人間観測のほうが面 白かったりして…。

編集部注:1フラン=約17円です

大手配給製作会社UGCが始めた年間カードサービス「ILLIMITE」の告知ポスター。年間1176フラン払えば、1年中UGC系列館で映画が見放題




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